アメリカ島 2020 3 15
書名 世界史で学べ!地政学
著者 茂木 誠 祥伝社黄金文庫
「世界の歴史は、地政学によって作られてきた」
アメリカは、島か。
私が、数十年前、地政学を学んだ時、
そういう疑問が浮かび、ずっと、その思いが続いています。
地政学において、島か大陸か半島かによって考察が違ってきます。
北米大陸は、地球儀で見ると、かなり大きく、
アメリカは、大陸国家のようにも見えます。
確かに、アメリカ本土は、
肥沃な大地が広がり、豊かな地下資源があります。
島国の日本と比べると、大陸国家のように思えます。
しかし、地政学においては、
アメリカは、シーパワー(海の勢力)とされます。
イギリスや日本は、典型的なシーパワーです。
一方、中国やロシアは、典型的なランドパワー(陸の勢力)です。
さらに、地政学においては、半島も重要です。
半島は、海の勢力が大陸に進出する時の足場となります。
逆に、陸の勢力が海に進出する時も、そうなります。
たとえば、明治時代の日本においては、
ロシアが朝鮮半島を南下するのではないかと、
当時の政府どころか、庶民まで不安を感じていたのです。
ロシアは、とてつもなく巨大国家に思えていたのです。
だからこそ、明治政府は、ロシア勢力を朝鮮半島で食い止めるべく、
様々な国際戦略を練っていたわけです。
これが、シーパワー国家の基本的な戦略となります。
時々、日本においては、専守防衛という言葉を聞きますが、
何か、大きな勘違いをしているように思います。
専守防衛という戦法を取ることができる国は、
中国やロシアのような大陸国家のみです。
広大な国土に敵を引き込んでから、
じっくり敵を滅ぼすという戦法は、
ナポレオンがロシアまで攻め込んだが失敗に終わったことを見れば、
よくわかるでしょう。
まかり間違って、日本が専守防衛という戦法を取ったら、どうなるか。
日本の国土は、小さく細長いので、民族消滅の危機を招きます。
明治時代の政治家は、正に地政学のとおりに行動していたのです。
もちろん、欧州まで領土に収めたモンゴル帝国が、
朝鮮半島を通過して、日本まで攻め込んだという歴史の記憶が、
地政学を理解させるきっかけとなったのかもしれません。
「日本エリートの弱点」
欧米エリートは、たとえ平和主義の人でも軍事の知識があります。
それは、エリートになるための基礎的な学習だからです。
日本においては、生徒や学生に軍事を教えたら、軍国主義と言われるでしょう。
つまり、日本人は、世界エリートにはなれないということです。
どんなに頑張っても、小さな島の中のエリートで終わるのです。